電子アクセサリのようなものシリーズ「ルビーダイス」作ってみた

[はじめに]
Makerムーブメントのひとつとして、電子工作を手芸品や装飾品に組み合わせるというものが流行しているようで、通販やイベントなどでもそれなりに人気があるようなので、私も触発されて製作してみることししました。

イベントや通販で市販されている作品を見ると、電子的な機能にはさほど凝ったものは多くなく、形状の芸術性を重視したり、電子部品を機能ではなく色やデザインのためのパーツとして見立てたものが多いようです。
個人的には、せっかく電池を使うものですので、単にLEDが点灯するというだけではどうも芸がないと感じてしまうので、何かしらインタラクティブな機能を載せたくなってしまうのが電子工作古参兵(老害ともいう)としてのプライドだったりもします。

というわけで今回は以下のような要点を決めて試作してみました。
・100円ショップのアクセサリ部品とレジンを使う
・超小型にするため、米粒PIC10F322を使用してみる
・LEDの表示に意味をもたせる→電子サイコロ機能をつける

赤く光るLEDが綺麗だったので、名づけて「ルビーダイス」(…われながら…恥ずかしいな…)



[回路図と解説]
ルビーダイス回路図
今回はSOT-23、6ピンパッケージのPIC10F322T-I/OTというI/O数が少ないMCUを使うので、7個のLEDを点灯させるために少々工夫が必要になります。
スイッチに1ピン使用するので、実際に使用できるI/Oは3ピンとなりますが、最近のワンチップマイコンのデジタルI/Oは"H"と"L"の出力の他、入力モードに指定してやると電流が流れないハイインピーダンス状態"Z"にすることができるため、H/L/ZとLEDの極性を組み合わせてやることでピン数が少なくても多数のLEDを制御できます。

ピン2本なら2つ、3本なら最大6つ、4本なら最大12個のLEDを制御できますが、もちろん、同じピンに繋がっている逆向きのLED同士を同時に点灯させることはできません。
しかし点灯するLEDを高速で切り替えて、いわゆるダイナミック表示させることで見た目には全部のLEDの点滅が可能です。

また、サイコロの目は7つの点があるので7個のLEDを制御するように思えますが、実際には4つのセグメントの組み合わせだけで1から6までを表示できますので、制御用のピンは3本で済みます。

《9/6追記》
microchip社の提供しているアプリケーションノート(英語)に、少ないピン数でLEDを複数表示する方法の解説があります。



[部品の紹介と工作]

・MCU:PIC10F322T-I/OT
米粒PIC10F322
SOT-23サイズ6Pパッケージの超小型のPICです。メモリーが少ないのであまり複雑なことは出来ませんが、何せ小さいので色々な場所にこっそり仕込むことができるカワイイ奴です。

・基板:SMDプロトタイピングガラスユニバーサル基板(0.3mm厚)Cタイプ
パターンがSOT-23の足のピッチにぴったりで、0.3mmの薄さが加工と狭い場所への組み込みに便利です。

・チップLED:赤色2012サイズ
寸法:2.0x1.25mm、順電圧(VF):1.8-1.9V、順方向電流:20mAというごく普通のチップLEDです。

・チップ抵抗:2012サイズ47Ω×3、33kΩ×1
LEDひとつあたりに約5mAを流す計算で47Ωにしましたが、十分な明るさがあったので電池寿命を持たせたければ68Ωやいっそ100Ωでもいいかもしれません。(D1だけ10mA流れてしまう回路になっているのは大人の事情です)

・リチウムコイン電池:CR1220
フレームに入る大きさと厚みで選ぶとこれしかありませんでした。残念ながら100円ショップには扱いがない場合がありますがホームセンターや電気店で買うとちょっと高いです。Amazonで10個入りを買いました。
フレームを削る手間を惜しまなければ、CR1616やCR1620も使えるでしょう。こちらは100円ショップでも扱っている場合が多いです。

・UEW線:直径0.12mm
普段は0.2mmを使っているのですが、今回はかなり細かいので0.12mmを使用してみました。

・面実装タイプタクトスイッチ:超薄型押しボタンスイッチ
見た目がステンレスでかっこいいのと、高さを低く抑えたいのでこれをつかいました。しかし秋月ではもう在庫限りですね。

レジン液:100円ショップで買える奴でいいです。

銅箔テープ:後述します

ゼムクリップ:後述します




アクセサリーフレーム
100円ショップで売っているレジン細工用のアクセサリー部品、ペンダントトップ用のフレームです。今回は四角い方を使います
フレームに合わせて基板を切る
フレームに合わせて基板を切ります。
フレームに合わせて基板を切る(表)
フレームに合わせて基板を切る(裏)
0.3mmと薄いので、はさみでも簡単に切れますが、はさみだと曲がったり歪んでしまうのできちんと定規を当ててカッターで切ります。(でもちょっと曲がったよ…気にしない気にしない)

ハンダ付け(1)
部品をハンダ付けしていきます。
配線する:ICD用の線を引き出しておく
豆粒PICを取り付けたあたりで、先にICD(PICKit)用にVdd/Vss/ICDCLK/ICDDAT/Vppからの配線を引き出しておきます。
配線する:LEDへの配線
一番面倒なのがLEDの配線です。対角線上に同じセグメントがあってそれを並列に配線するのでかなり混雑してしまいますが、根気良くやります。いいはんだごてとコテ先を使うと楽に出来ます。

配線する:ICD用のコネクタ
PICKit用にピンヘッダをつけておきます。
LEDサイコロ表示動作確認
ソフトをコーディングし、サイコロの目が正しく表示されることを確認します。
※今回はI/O線をICD端子と共有してしまっているので、PICKitを接続したままだとうっすらと点灯したままになるセグメントがあります。
電源を通すくぼみ
基板の隅を三角やすりかカッターでけずって電源用の線を通すくぼみをつくります。
電池ホルダー作成(1)
裏側には電池を取り付けますが、この薄さに収まる電池ホルダーは市販されていません(基板に金具を直接つけるタイプのがあることはあるけど入手が面倒くさかった)ので、自作します。
《9/6追記》
後になってaitendoでCR1220用の金具が売られているのを発見しました…。今後はこれを使おうっと。(AliExpressとかebayとかはまだ使ったことがないんですw)
銅箔テープ108円
マイナス極は銅箔テープを使います。ダイソーの場合、銅箔テープは工作用品ではなく園芸用品売り場にありました。
電池ホルダー作成(2)
銅箔テープをコイン電池よりもやや小さいサイズ、そして少しリードタブを出してやるようにカットして基板の裏にはりつけ、回路のVssからの線をはんだ付けします。銅箔テープの糊が溶けて臭いですので換気はわすれずに。
小さいゼムクリップを写真のように半分に切り、切り取った端を2つともヘアピン状に折曲げて、ヘアピンが通る部分をあらかじめ削っておいた基板に挟み、はんだ付けして仮固定します。このゼムクリップははんだ付けができる材質でしたが、はんだが乗らない材質のものもあると思うので要注意です。
また、今回使った基板は裏面がレジストされているので絶縁されていますが、レジストの下はベタアースになっており、基板の端っこを削った部分の絶縁を考慮すべきです(今回は後から気づいたけどまあ動いてるからいいやという後の祭り)

ユニットの完成
なんやかんやでコイン電池の固定が出来て、基板ユニットが完成です。
言葉で書くと簡単ですが、電池の押さえ金具についてはトライアンドエラーを何度か繰り返しました。やっぱり専用の電池ホルダー金具を入手した方がいいですね…。
フレームに仮組
フレームに仮組みします。

レジンを流して紫外線を照射
しっかりフレームの中に納まるよう調整したら、表側からレジンを流し込みます。このときタクトスイッチの可動部分に液がかからないように注意しつつ、レジン液の厚みが十分保たれるように均しながらやりましょう(ええ、失敗しましたよ。ボタンは押せるけど、少しレジンが薄い場所ができちゃいました)
完成(表側)
表側の硬化が終わったら、忘れずに裏側からのレジン塗布と硬化も行います。
完成(裏側)
今回は裏側にもレジンがほどよく染み出してくれて、追加の塗布は必要ありませんでした(これ以上染み出てたら逆にヤバかった)ので、このまま硬化させて完成としました。


[感想、反省点など]
・配線作業が大変だったし、美しさの点からもやっぱり専用基板を作ってやったほうがいいよね
・きちんとした電池ホルダーと裏ぶたをつけたい

[余談]
余談ですが、実は今回初めて「温度調節はんだごて」と「鉛フリーはんだ」を使いました。

温調こてはHAKKOのFX600という一番簡易型で値段も安いものですが、これは想像以上に快適です。
コテ先が温まるのも早いし、ハンダ付けする対象物の熱容量に合わせて加熱を即時で制御してくれるので、細かい部品のはんだづけが大変楽でした。初心者にもオススメです。

身に着けるアクセサリーということで、鉛フリーはんだを使ってみたのですが、やはり鉛入りのはんだとはだいぶ使用感が異なります。鉛はんだはうまくつけられたときに表面がつやをもって丸くなるのでよくわかりますが、鉛フリーはんだでは表面が曇ったままなので判別がつけづらいです。
ただ、温調こてのおかげで「つけづらくて不快」というようなことはありませんでした。つかった鉛フリーはんだがHAKKOの純正品なのがよかったのかもしれませんが。
鉛フリーはんだではコテ先の劣化がかなり早い、という脅し文句を聞いていたのですが、数日の使用では特におかしなことは起きていません。コテ先ケミカルも買おうかとは思っていますが。


[ソースコードと操作の説明]
動作モードが2つあり、電源投入時にはダイスモードになっています。
何も表示されていない状態でボタンを押すと、LEDのダイスの目が高速でカウントを始め、しばらくするとゆっくりになって1から6までのいずれかの目を表示して停止します。約5秒間表示したあと、表示が消えます。
デモモードでは、ボタンを押さなくても自動的にダイスの目がカウントを初め、ゆっくりになって停止、3秒後に再びカウント開始、を繰り返します。
デモモードとダイスモードの切り替えは、ダイスの目が停止して表示された後、表示が消える瞬間にボタンが押しっぱなしにしてあると切り替わります。

なお、このソースコード並びに製作記事を参考にされたことによる全ての事象について、私は一切の責任は負いません。[At Own Your Risk]

ソースコードの表示にはGitHub:Gistを利用しています。
・2015/9/6
アプリケーションノートの件と、CR1210ホルダーの件について追記しました。
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